こんにちは。助産師のはなです。
今回は私が妊娠中、それも産休に入った後に突然やってきた謎の体調不良と、その結果学んだことについて語りたいと思います。
体調不良とは具体的に、酷い動悸と息切れでしたが、今思えばとてもしんどかったです。
そして、赤ちゃんが無事に生まれてきてくれることは、本当に奇跡なんだと、改めて感じられる経験でした。
助産師だからこそ知ることができ、妊娠していたからこそ感じることができた内容だと思います。
ぜひ私の体験したことを、皆さんにも役立てていただきたいです。
誤解しないでいただきたいのですが、
赤ちゃんに何かしらの不幸があった場合に、それがお母さんの行動の結果だ(お母さんが悪い)という考えは一切ありません。
私と同じように、無理をしてしまう人が増えないように..という願いのもと書かせていただきます。
悪阻が落ち着いてからは、わりと体調が良かった妊娠期間
また別の機会に悪阻(つわり)の話も記事にしようと思っていますが、私はとにかく悪阻が酷かったです。
やっと体調が落ち着いてきたのが、妊娠5~6ヵ月頃で、その頃からお休みをいただいていた仕事にも少しずつ復帰しました。
吐かなくなり、食事もまともに摂れるようになってからは、割りと元の体調に近いところまで回復し、元気に過ごしていました。
お腹が大きくなってくると、階段の上り下りなどは多少しんどくなってきましたが、まあこんなもんだよね、っていう程度。普通に仕事ができる範囲内でした。
待ちに待った産休
いよいよ産休に入りました。子どもが産まれるのも楽しみだし、長期でゆっくりできるのも久しぶりだし、嬉しかったですね(笑)
今までは仕事をしていたので、それなりに動いていましたが、産休に入ってからは動く機会がなくなるので、運動しようと思い立ちました。
運動があまり好きではない私が運動をしようと思ったのには、一応理由があります。
産科では妊婦さんに運動することをすすめることが多い
産婦人科医も、助産師も、看護師も、みんな妊婦さんに『動け~!』とウォーキングなどの運動をすすめます(笑)
特に臨月を迎えた妊婦さんには強くすすめることが多いです。
その理由としては、
- 体重管理のため
- 出産に向けての体力作り
- 陣痛を来させるため(臨月の場合)
- 便秘の改善
- ストレス発散
などがあります。
妊娠期間、特に臨月での運動はメリットが多いですね。
ただし妊婦さんによっては、運動をおすすめしない場合もあります。
- 妊娠初期(流産しやすい時期のため)
- 臨月以外の妊婦さんで、出血や腹部の痛みがある(切迫流早産)
- 合併症がある(高血圧など)
上記以外にも運動をすすめない場合はあると思うので、心配な場合は医師に確認しましょう。
話が戻りますが、妊娠中は運動するべしと思っていた私は、体を動かそう!と意気込んでいました。
なんだかしんどい…
これが、妊娠後期の妊婦というものなのか…しんどいな、と思いました(笑)
助産師としてたくさんの妊婦さんに関わることはあっても、自分が体験するのは初めてだったので、勉強になるなぁと思ったものです。
少し動くと動悸はするし、息切れするし、単純にそれだけではなく、なんかしんどい。
でも、お腹も大きくなっていたし、仕方ないと思っていました。
そして、ちょっと話はそれますが、
産休に入った途端、夜眠れなくなった
深夜に目がどんどん冴えて、気が付いたら3時4時なんてよくありました。
これも体を動かさなくなったせいかなと思っていました。
でも違うんですよね。昼間に動こうが動かまいが、眠れないんです。
昼寝するからいけないんだと思い、必死で昼間起きていたこともありましたが、やっぱり夜になると眠れませんでした。
そのせいで連鎖的に体調が悪くなっていき、気分は最悪です。
よく、夜眠れなくなるのは、昼夜問わずに泣く赤ちゃんとの生活に適応するため、妊娠中から準備しているんだよ、なんて話がありますが、ほんと迷惑だと思いましたよ。
まだ生まれてないんだから、寝かせてよ!!!
ということで私の経験上、妊婦さんは眠い時に寝ておくことがとても大切です。
昼寝ができると、体がかなりラクになりました。
それは出産後の育児でも同じことが言えますので、練習を兼ねて、睡眠は取れる時に積極的にとりましょう。
そんな寝不足のせいもあってか、とにかく妊娠後期はしんどかったですね。
でも私としては、妊婦なんてこんなものだろう、だってこんなに体が変化するんだから仕方ないよね、くらいに思ってました。
だって、お腹が大きくなるのは当たり前だし、眠れてなければ多少しんどいのは仕方ないし、他の妊婦さんの多くは元気に動いているし、と。
多少の体調不良より、運動することのメリットを重視していたんです。
もはや、『臨月は運動しなくちゃいけない』と、洗脳状態にありました。
マタニティヨガやマタニティビクスに参加してみた
運動しなければと洗脳されていた私は、ヨガやビクスに参加しました。
妊娠中にいろいろ体験し、妊婦さんの気持ちを理解したいという気持ちがあったためでもあります。
ヨガは私も資格を持っていますし、運動というよりはストレッチとリラックス、という感じなので特に負担もなく、楽しく参加できました。
問題はビクスです。周りの妊婦さんがチャキチャキ運動している中、めちゃくちゃ息切れするんですよね。動悸もすごかったです。
もともと運動が得意でも、体力がある方でもない私は、ここでも、
「まあ、私のポテンシャルではこんなもんだよね」と思うわけです。
でも冷静に考えれば、つい最近まで仕事もしていたのに、ここまでしんどくなるものなのか、という感じでした。
そう思いながらも数回は参加しました。
最後に参加した翌日くらいのことだったと思います。
料理中に酷いめまいが
忘れもしません。妊婦のくせにカロリーを気にせず、昼間からガッツリ揚げ物をしていました(笑)
揚げ物なんてめんどくさくて滅多にしないくせに、よっぽど暇だったんでしょうね…
揚げ物って、立ちっぱなしになるし、暑いし、時間がかかりますよね。
急に気分が悪くなり、目の前が少し回ったあと、真っ白になりました。
これはヤバいと、なんとか倒れずに床に座りこみ、落ち着くのを待ちました。
ちょっと落ち着いてから揚げ物の火を止め、ソファに横になりました。
ソファに横になったあとも、しばらくは心臓がバクバクしてるし、呼吸は苦しかったです。
体調が悪いのだとようやく自覚する
なるほど、これは体調が悪いな。と、ようやく自覚しました。
ちなみに妊娠すると循環血液量が増加し、心拍出量が増大します。とくに妊娠後期は子宮に押されて横隔膜が挙上することもあり、動悸や息切れが起こることが多いです。なので動悸も息切れも特別異常なことではありません。
それにしてもしんどかったので、運動どころじゃない、これは無理をしないほうがいいやつだ…と思ったわけです。
仕事が休みになり、緊張感が取れたというか、力が抜けてしまったというのもあるかもしれません。
一度体調が悪いと自覚してしまうと、もはやゴロゴロしててもしんどくなってしまいました。
そのまま出産まで、目立った運動や外出をすることもなく過ごしました。
いざ出産してみると…
出産自体はそこそこ順調でした。
娘は大きかった割に、平均的よりむしろ早めに産まれてきてくれました。
しかしですね、へその緒が一部とても細かったんです。
医療職以外の方にはいまいちイメージできないかもしれませんが、臍帯(へその緒)は直径1~2㎝くらいあって、プリプリしてます。
臍帯は、お母さんから赤ちゃんに栄養や酸素を送る本当に大切な器官です。
赤ちゃんにとっては命綱です。
ちなみに胎盤は子宮の内側にくっついていて、やはり赤ちゃんに栄養を送るための重要な器官です。
胎盤は赤ちゃんに必要なものを用意したり、赤ちゃんにとって不要なものを受け取ったりする場所で、臍帯は赤ちゃんにとって必要なものや不要なものを、胎盤との間で輸送するためのホースのような役割をしています。(少し大雑把すぎる説明ですが…)
胎盤も臍帯も、赤ちゃんが産まれると役割が終了するため、出してあげる必要があります。
その胎盤の出し方ですが、助産師が臍帯をぐーっと引っ張りながら出します。
しかし私の場合、臍帯の一部分がとても細かったため、なかなか上手く出せなかったようで(無理に引っ張って切れてしまうと、余計に胎盤を出すことが困難になるため)、最終的には医師に出してもらいました。
胎盤は比較的スルッと出てきてくれることが多いので、少し珍しいことでした。
実際に自分の胎盤と臍帯を見た時に、無事に産まれて来てくれてよかった、と心から思いました。
仮にお腹でいっぱい動いてどこかに巻き付いたり、赤ちゃんが自分で引っ張ったりしていたら、この細い臍帯では栄養や酸素を送れなかったかもしれないし、最悪切れてしまっていたかもしれません。そうなると赤ちゃんは助からなかったかもしれません。
臨月で急激に体調が悪くなった原因は、安静にしているように、という赤ちゃんからのメッセージだったのかもしれないと感じました。
この話を聞いた方の中には、臍帯も胎盤もすべて妊娠初期に形成されて、赤ちゃんと一緒に徐々に大きくなっていくんだから、臨月での体調不良に結びつけるのはおかしいと感じる方もいるかもしれません。
自分でもこじつけかな、と思う部分はあります。
それでも、私と娘にとっての限界点が臨月というタイミングだったのかな、とも思ったりします。
ここで再度お伝えしますが、誤解してほしくないのは、赤ちゃんに何かしらの不幸があった場合、妊娠中のお母さんの行動にすべての責任があるわけではないということです。
私が言いたいのは、いくら医師や助産師に運動しろと言われたとしても、それが普段以上にきつく感じる場合や、いつもと違って何かおかしいと感じる場合は、決して無理をしないでほしい、ということです。
臨月での運動にメリットが多いのは事実なので、医師も助産師も軽い気持ちで運動するように伝えます。しかし運動に関しては決して強制ではありません。体重をコントロールするのも、食事でなんとかなります。
ただし、医師の指示に必ずしも従わなくて良いという意味でもありません。
医師の指示には理由があります。必ず従うようにしてください。
例えば、安静にするようにと言われているのに、自分の体調が良いからといって出かけたりするのは、赤ちゃんの命を危険にさらすことになります。
- 必ず医師の指示には従う
- 体調が悪い時は無理をしない(指示された内容にそむく場合は、医師に確認する)
以上をこころがけてください。
産後に気づく、妊娠中のしんどさ
産後数か月、お腹の中にいた頃の体重から倍にまで成長した我が子を抱っこして1時間程度歩いても、対してしんどくありませんでした。
妊娠中より酷い寝不足だったし、産休後から産後数か月全く運動していなかったのにも関わらず、です。
なので、やっぱり妊娠中は体調悪かったんだな~と何度も思いました。
それと同時に、やはり娘が一生懸命メッセージを送っていたのかなとも思います。
運動することはとても良いことです。運動すれば多少きついとも思いますが、自分が心地いいと感じる程度のキツさであることが重要です。
終わったあとに軽く汗をかき、気持ち良かったと思えるとベストですね。
皆さんもぜひ自分の体の声に耳を傾け、今の自分に合った行動を心掛けてください。
もしかしたら、赤ちゃんからのメッセージが聞こえてくるかもしれません。
それでは。
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